今さら聞けない!ペイオフとは

2016年5月23日

簡単に言うと…

  • ペイオフとは、破たんした金融機関に口座を持つ預金者一人につき1,000万円までの元本と利息は保証するが、それを超える分については、破たん金融機関の財務状況に応じて弁済金・配当金を支払うという制度です。
  • そのため、1,000万を超える財産の保護のためには、「ペイオフ」のルールをよく理解して、賢く「預け分け」することが必要です。
  • また、国が発行する国債は、元本と金利が保証されているので、長期の定期預金で1,000万円を超える分は国債に回してもいいでしょう。

無理のない計画で楽しく節約・貯金をしよう

「ペイオフ解禁」――で、何が変わったの?

2002年4月、日本の民間金融機関の「ペイオフ解禁」となりましたが、それが預金者にとって何を意味するのか、よくわからないまま、という人は結構多いようです。

『解禁』という言葉のマジックで、何か目新しいシステムでも利用できるようになるのかな、と良いことのように考えているあなた、あとで泣かないために本当の意味をお勉強しておきましょう。

「ペイオフ」は、銀行があなたに責任を持てる範囲の限定

「ペイオフ」は、銀行があなたに責任を持てる範囲の限定これまで日本では「預金者保護法」のもとに、預金先の金融機関の経営が破たんしても預金の全額が保護される決まりになっていました。

「イザという時」に備えて、各金融機関(すべての銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫)は強制的に「預金保険機構」に加入していて、破たん後の預金者への払い戻しに応じきれない分も、そこからまかなえることになっていました。これを「預金保険制度」といいます。

しかし、これでは金融機関の自己責任意識を薄れさせるとの批判もあって、1996年6月に、この「預金者保護法」が改正されました。アメリカ流の「ペイオフ」制度を導入することになったのです。

具体的にどういうことかといいますと、「破たんした金融機関に口座を持つ預金者一人につき1,000万円までの元本と利息は保証する、でも、それを超える分については、破たん金融機関の財務状況に応じて弁済金・配当金を支払うことで勘弁してくれ」という制度に変わるのです。

ただし、預金者の不安に配慮して、この制度の施行は2002年4月まで凍結されていました。それで、実際のスタートを「解禁」と呼ぶようになったのです。何だか、不安を抑えるためのマスコミの作戦のようですね。しかも2002年はまず定期預金のみについての適用で、普通預金については2005年4月から、と再延長が決まりました。そうそう簡単には話が進みません。

「ペイオフ」に有効な、預け分けの法則

大きな現金をプールしている企業や管理組合はこれからの対策に必死でした。

もちろん個人にとっても、1,000万を超える財産の保護のためには、「ペイオフ」のルールをよく理解して賢く「預け分け」することが必要です。

《ルール1》保護される単位は「1預金者1口座」

同じ銀行でも複数の支店に何冊も通帳を持っていて、それぞれが数百万円以下だから大丈夫、と思っているあなたはご注意。

保護されるのは、あくまで1金融機関につき1人1,000万円。同一人のものと判断される通帳は、届出時に提出されているデータをもとに、「名寄せ」という統合作業が行われ、1つの口座としてまとめて扱われることになるのです。

企業が複数の支店で別々に口座を作っている場合でも、1つの口座としてまとめられてしまいます。保証はお一人様1,000万円までが鉄則です。

《ルール2》保護されるのは日本に本店のある金融機関のみ

1人1,000万円の保証の対象となるのは、前述の「預金保険機構」に加入している金融機関のみ。だから、外国銀行は対象外。また、日本の金融機関が窓口でも、外貨預金は保護対象に含まれないので、注意してください。

ちなみに、預金保険機構に加入していない農林中金、農協、漁協、水産加工協同組合などの金融機関には、「農水産業協同組合貯金保険制度」という同様の制度があってこちらは保証を受けられるのでご安心を。

《ルール3》破たん後、保証額さえも引き出せない一時凍結期間がある

金融機関の破たん後すぐは、「資金援助方式」といって、合併や援助の引き受け先を探す期間が数日間はあります。それが確定してからペイオフが発動し、財務整理が始まります。この、ペイオフが発動してから《ルール1》でお話しした「名寄せ」作業が終了するまでの期間は、口座は一時凍結状態となって引き出しも預け入れもできなくなってしまうのでご用心。

ただし、凍結期間が長期となる場合、1口座60万円を限度に仮払いを受けることができます。こうした不便を避けるためにも、日頃から格付け機関による評価、株価の動きなどをチェックし、より安全な金融機関への移し替えなどの自衛策も心がけましょう。

《ルール4》破たん前に亡くなっていた人の遺産口座はどうなる?

その場合は保護額が拡大されることがあります。また亡くなった人の通帳は、1人分として数えられます。ただし、その人が亡くなったのが、破たん前なのか、破たん後なのかで大きく異なるので注意してください。破たん後であれば、亡くなった人の口座も1人1口座の法則がそのまま適用されて、1,000万円までの保証となります。

もちろん、それを超える分もゼロになるわけではなく破たん金融機関の財務事情に応じたお金が支払われるという点も同じです。ところが、破たん前になくなっていた場合は、(相続人の数)×1,000万円までが保証されるので、ありがたいといえます。

郵便局の振替口座が避難先?

郵便局の振替口座が避難先?預け入れ限度額なしという郵便局の振替口座。

法人でなく個人でも一定の条件のもとに開設可能なのでこの低金利時代、利息よりも安全第一、金庫代わりで十分という人には「ペイオフ」から避難するためのかしこい選択肢かも。

特に集合住宅の修繕積立金など、億単位の共有財産を預かる立場にある人には、みんなが困らないための防衛策としてオススメです。

このほか、遊んでいる現金は国債に換えておくという手もあります。国が発行する国債は元本と金利が保証されているので長期の定期預金で1,000万円を超える分は国債に回してもいいでしょう。