車両保険に関する基礎知識

2016年5月16日

簡単に言うと…

  • 車両保険とは、自動車事故を起こした際に自分の車の修理費等を補償してもらう保険のことです。
  • 車両保険には、一般車両保険・エコノミー・限定A・エコノミー+限定Aの4つのタイプがあります。
  • 車両保険は自分の車の損害のみを補償する保険であり、たとえ加入していなくても他人には一切迷惑をかけないため、入るも入らないも個人の自由意志のみで決めて良い保険と言えます。

車両保険に関する基礎知識

自分の車が受けた損害を補償してくれる保険を車両保険と言います。車と車の事故を起こした際、相手方の対物賠償保険次第では保険金が支払われないこともあります。あるいは、車が盗難や自然災害によって損害を受ける可能性もあります。万が一に備えて車両保険に入っておけば、とても心強いものとなるでしょう。ここでは車両保険に関する基礎知識を網羅的に解説しています。

車両保険とは

自動車事故を起こした際、自分の車の修理費等を補償してもらう保険のことを車両保険と言います。

たとえば次のような例で保険金が支払われます。

・自動車同士の事故を起こし、自分の車が壊れた
・自分の運転ミスでガードレールや車庫でボディをこすってしまった
・他人の車に当て逃げされた

また、事故ではありませんが、

・車体にいたずらされた(傷、落書きなど)
・自動車が盗難に遭った
・台風で折れた木が車体を直撃した

などといった場合でも車両保険が有効です。

自動車同士の事故の場合には、相手方からも保険金が支払われます。しかし、自動車同士の事故には過失割合があり、相手方の過失割合に応じた金額しか受け取ることができません。車両保険に加入していれば、自分の過失割合分も支払われることになります。

また、いたずらや盗難など相手方の特定が難しい場合や、自然災害など相手方がいない場合には、車両保険に加入していない限り原則として自費で車両を修理することになります。

車両保険の免責とは?

車両保険の免責とは?車の修理代を全額保険会社が負担するタイプの契約と、一部自己負担するタイプの契約とがあります。一部自己負担する場合、その自己負担分のことを免責金額と言います。

修理代に30万円かかったとして、20万円は保険会社が支払い10万円は自己負担するという契約ならば、この10万円分は免責金額となります。つまり免責とは、保険会社の負担を免責するという意味です。

この免責金額に応じて普段支払う保険料が増減します。免責金額が大きければ保険料は安くなり、逆に免責金額が小さければ保険料は高くなります。免責金額をゼロにすることも可能です。

車の修理代は、かなり高くつくこともあります。いざという時の多額な出費に備えるため、普段支払う保険料が多少高くても、免責金額はなるべく0にしたいという方もいらっしゃるようです。しかし、車同士の事故の場合には過失割合があります。10対0で自分に過失があるという例は少なく、相手方にも何割かの過失が認められるケースがほとんどです。相手方に過失が認められれば、その過失割合に応じて保険金を請求することができます。

そして、この保険金をそのまま免責金額(自己負担分)に充当することができます。よって現実的には、たとえ免責金額付きの保険契約であったとしても、修理代で自腹を切ることはほとんどないと言われています(免責金額や過失割合などによります)。車両保険を検討する際には、相手方の過失割合に応じた保険金が入ることも考慮しておきましょう。

車両保険4つのタイプ

車両保険は、一般車両保険エコノミー限定Aエコノミー+限定Aの4タイプに分けることができます。

それぞれの要点を確認しましょう。

一般車両保険

車両に関連するほぼ全ての損害を補償するタイプの保険です。車と車の事故、車とモノとの単独事故、当て逃げ、自然災害、盗難、落書きなど、4タイプの保険の中で補償対象がもっとも広く設定されています。ただし、補償対象が広い分、4つの保険の中では最も保険料が高くなります。

エコノミー

車と車の事故に限定した損害を補償するタイプの保険です。二輪車や原付バイクとの事故も補償範囲に入ります。

限定A

交通事故以外の理由で生じた損害を補償するタイプの保険です。自然災害、盗難、落書き、小石の飛来、火災などを理由とした車両損害が補償対象となります。

エコノミー+限定A

エコノミーと限定Aを合わせた範囲を保証するタイプの保険です。一般車両保険との違いは、自損事故や当て逃げが含まれていない点です。

車両料率クラスによって保険料が異なる

車両料率クラスによって保険料が異なる車両料率クラスとは、保険料計算の基礎となる車両別ランクのことです。同じ程度の事故を起こした場合でも、一般的な車に比べて高級車のほうが修理代は高くなります。

その分、保険会社の支払いも高くなるため、高級車は車両料率クラスが上がって保険料も高くなる、という考え方です。高級車以外にも、事故率の高い車種や、盗難やいたずらの対象にされやすい車種は、車両料率クラスが高くなります(スポーツカーなど)。逆に、事故率が低く盗難やいたずらなど可能性が少ない車種は、車両料率クラスが低くなります(コンパクトカーなど)。

車両料率クラスには車種別に9段階あり、毎年クラスの見直しが入ります。車両料率クラスは損害保険料率算出機構という組織がまとめて決定していますので、保険会社によって同車種の料率が異なるといったことはありません。なお、車両料率クラス1の車種に比べて車両料率クラス9の車種は、保険料が4倍程度と大きくなります。

車両保険を使うと翌年の保険料が高くなる

車両保険を使うと翌年の保険料が高くなる車両保険金を請求した場合、翌年の保険料は高くなります。これは、自動車保険の加入者にはそれぞれ等級が付けられており、等級に応じて翌年の保険料が上下するというシステムになっているからです。

車両保険金を請求すると、事故の種類によって翌年の等級が3段階または1段階下がります。それに応じて保険料が上がるという仕組みです。

かつて自動車保険には等級プロテクトと呼ばれる特約が存在しました。たとえ保険請求をしても等級が下がらないという内容の特約で、等級が下がらなければ、保険料が上がることもありません。等級プロテクトは一時、大手損害保険会社で一般的に見られた特約でしたが、2016年現在、同特約を残している保険会社は見当たりません。

もし、ご自身の車に損害が生じた場合は、すぐに保険請求をするのではなく、一旦等級ダウンによる保険料の増額分自費修理の総額とをよく比較してみましょう。比較の結果、自費修理のほうが安く済む場合には、あえて保険請求をしないほうが得策です。

車両保険は必要か

車両保険は必要か自動車の任意保険は、賠償責任保険障害保険車両保険の3つに分けることができますが、これらの中で車両保険だけは、入るも入らないも個人の自由意志のみで決めて良い保険と言えるでしょう。

他の2つの任意保険は入るべきです。なぜならば、車両保険は自分の車の損害のみを補償する保険であり、たとえ加入していなくても他人には一切迷惑をかけないからです。修理代を自費で払うと決めているならば、無理に車両保険に加入する必要はありません。あるいは、激安で購入した中古車に車両保険をつけるくらいならば、事故後、改めて激安の中古車を購入したほうが保険料よりも安く済む可能性すらあります。

ただし、新車の高級車やスポーツカーなどに乗る場合には車両保険に加入しておいたほうが良いかも知れません。万が一のときの修理代も高く、盗難やいたずらの危険性も高くなるからです。車両保険に加入するかどうかは、最終的には車の所有者やご家族の価値観、考え方に委ねられます。加入した場合と加入しなかった場合のリスクや収支も想定のうえ、よく検討してみましょう。

以上、車両保険の基礎について解説しました。車両保険は、入るも入らないも車の所有者の自由です。ご自身の余裕資金と相談し、かつ車への愛着なども総合的に考えて検討してみると良いでしょう。