電力自由化の新規参入企業~現状と背景~

2016年9月28日

簡単に言うと…

  • 電力自由化によって、多くの企業が電力の小売り事業に参入しています。
  • そのなかで大手の電力会社は既存顧客の流出を防ぐために様々な企業と提携し、新規参入企業も顧客を獲得するため様々な企業と提携しています。
  • 今のところ、ガスやネット回線とのセット割などのための提携がメインですが、今後様々な事業提携により、お得なサービスが生まれてくることでしょう。

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電力自由化にともなって新規参入企業が続々と増えています。

各社はどのような戦略をもって厳しい競争市場を勝ち抜こうとしているのでしょうか。

既存の大手電力会社も含め、電力小売り市場に参入した大手企業の狙いについて解説します。

 

電力自由化の概略と事業提携の動き

電力自由化とは、厳密に言えば、発電の自由化小売りの自由化送配電の自由化の3つを指しますが、私たちがメディアなどを通じてよく聞く電力自由化は、これらのうち電力の小売りの自由化のことを指しています。

もともと電力小売り事業は、大手電力会社10社(東京電力や関西電力など)による寡占市場でしたが、2000年3月より規制が緩和され、制限付きで他の事業者も電力の小売り事業を行なうことができるようになりました。

以後、2004年、2005年と徐々に規制の範囲が緩和され、2016年4月1日より電力の小売り事業に関わる一切の規制が撤廃されました

電力自由化にともない、大企業から中小企業まで全国各地の事業者が電力市場への新規参入に名乗りをあげました。

2016年8月9日現在のデータによると、電力小売り事業者として国に登録された事業者の数は334社となっています。

電力自由化が開始されて以降も新規参入企業は増え続けており、市場では激しい顧客争奪戦が行なわれています。

競争原理の中での生き残りと勝ち抜きをかけ、電力自由化スタートの前後から既に市場は事業提携のステージへと突入した様相です。

 

事業提携の現状と背景 1:大手電力会社 一般企業

既存の大手電力会社の事業提携について、東京電力関西電力中部電力の3社の状況を見てみます。

 

◆東京電力+一般企業

<提携企業の例>

リクルートホールディングス、ソフトバンク、So-net、USENなど

<事業提携の背景>

東京電力は、すでに多くの顧客を抱えている大企業と積極的に提携を進めています。

これら大企業の顧客層は関東圏がボリュームゾーンのため、提携による既存顧客の流出防止が狙いではないかと推察されます。

 

◆関西電力+一般企業

<提携企業の例>

ジモティー、イポカ、マネーフォワード、リロクリエイトなど

<事業提携の背景>

関西電力は、日常生活や生活費に絡むサービスを提供している企業と積極的に提携を進めています。

各企業が提供する生活情報サービスの中に電力も絡ませることで、既存顧客の流出を阻止するのが目的でしょう。

 

◆中部電力+一般企業

<提携企業の例>

NTTドコモ、イオンリテール、遠州鉄道、静岡鉄道など

<事業提携の背景>

中部電力もまた関西電力に近い戦略ですが、加えて自社と地元鉄道会社とのポイント互換連携が特徴的です。

既存顧客の流出防止のために様々なアイディアを実践している様子が伺えます。

 

既存の大手電力会社の事業提携の目的は、新規顧客の獲得もさることながら、むしろ既存顧客の流出防止が柱となっているようです。

 

事業提携の現状と背景 2:新規参入企業 一般企業

電力小売りに新規参入した企業もまた、積極的に他の企業との提携を進めています。

 

◆東京ガス+一般企業

<提携企業の例>

NTTぷらら、ビッグローブ、朝日ネット、エキサイトなど

<事業提携の背景>

上記4社に加えて、東京ガスは多くのネット回線事業者との提携を進めています。

電気とインターネット回線とのセット売りで生活固定費に割安感を出し、もって新規顧客を獲得する狙いがあると思われます。

また、昭島ガスや東部ガスなどすでに協力関係の厚い地元企業との提携を通じ、手堅い顧客固めも並行しています。

 

◆オリックス+一般企業

<提携企業の例>

みちのく銀行、長野銀行、ちば興業銀行など

<事業提携の背景>

オリックスは、同じ金融畑である銀行、とくに地銀との提携に力を入れています。

特徴的なのは、銀行の個人顧客ではなく法人顧客のみをターゲットにしている点です。

大口顧客を獲得することで、コストを押さえつつまとまった収益を狙う戦略のようです。

 

◆東急パワーサプライ+一般企業

<提携企業の例>

横浜ケーブルテレビジョン、南東京ケーブルテレビ、伊豆急ケーブルネットワーク、入間ケーブルテレビなど

<事業提携の背景>

東急電鉄100%出資会社の東急パワーサプライは、ケーブルテレビ会社との事業提携に積極的です。

ケーブルテレビとのセット割引で新規顧客拡大を狙っています。

電力契約の事前受付開始からわずか2ヶ月で2万件の契約数を獲得しています。

 

新規参入企業が牽引する事業提携は、大手電力会社における事業提携とは対照的に積極的な新規顧客の開拓が目的となっています。

 

代表的な新規参入企業リスト

上記のとおり、2016年8月9日現在での電力小売り新規参入企業は計334社となっています。

私たちもよく知っている有名企業を例を挙げ、それぞれの企業における電力供給エリアを見てみましょう。

 

◆電力小売りに新規参入した有名企業

・東京ガス…関東圏

・大坂ガス…近畿圏

・西部ガス…福岡市、熊本市、長崎市など

・東邦ガス…愛知、岐阜、三重、およびその周辺地域

・昭和シェル石油…関東・中部・近畿

・東燃ゼネラル石油…関東・甲信・東海・近畿

・新出光…関東・中部・近畿・中国・九州

・JXエネルギー(ENEOS)…茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・静岡県の一部

・シナネン…関東・近畿・中部・東北・中国・九州

・KDDI…全国(沖縄県、および一部離島を除く)

・ジェイコム各支社…各支社管轄エリア

・SBパワー(ソフトバンク)…関東・関西・中部・北海道

・東芝…神奈川県など

・東急パワーサプライ…東京都・奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・静岡県

※上記企業はすべて一般家庭への電力供給を実施中、または実施予定です。電力小売りに新規参入した有名企業の中には、一般家庭への電力供給を予定していない企業も多くあります。

 

電力小売り市場への新規参入企業は、業務提携という形を採り急ピッチで市場の獲得を目指しています。

現状は「セット割」を目的とした事業提携が中心ですが、今後はさらに新たなサービスが展開されると期待されています。

 

 

 

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