NISAと税金に関する注意点

2016年5月10日

簡単に言うと

  • NISA(ニーサ)とは、年間120万円までの買付を上限に株式や投資信託の利益に課されるべき税金が免除される制度です
  • ただし、NISA口座を通じた上場株式等への投資でも、配当金は株式数比例配分方式という入金方法を選択していなければ非課税にはなりません。
  • また、NISA口座で購入した株式や投資信託で損失が出た場合、他の口座で出た利益と損益通算をすることはできず、またNISA口座で損失が発生したとしても、3年間の損失繰越控除は利用できません。

NISAと税金に関する注意点

NISAを利用すれば、本来かかるべき税金が免除されます。これまで株式や投資信託に投資をしてきた方にはもちろん、投資に関心はあるもののまだスタートしていなかった方にも、非課税という響きは大変魅力的に感じます。

ここではNISAと税金の関係について基本から理解するとともに、NISAで非課税の恩恵を受けるための注意点についても触れてみたいと思います。

NISAと非課税

NISAと非課税株式や投資信託の利益には通常20%の税金が課されますがNISAではこの課税が免除されます。NISAは少額投資非課税制度とも言われます。

一般的に株式や投資信託の売買は、証券会社の特定口座や一般口座を通じて行なわれます。特定口座も一般口座も納税方法に違いはあるものの、利益に対して20%の額が課税されることに変わりはありません。ところがNISA口座を通じて株式や投資信託の売買をすると、売却益・配当金・分配金のいずれも非課税となります。つまり利益がそのまま手取りになる、ということです。
NISA口座には、

①投資金額が年間120万円まで
②非課税の有効期限は5年まで

という2つのルールがあります。
たとえば毎年上限枠120万円まで株式や投資信託を購入し続けた場合、5年分で最大600万円までの自己資金をNISA口座に投入できることになります。この600万円から生まれた利益は、すべて非課税となります。

年間120万円までの範囲内であれば良いわけですから、逆にいえば1万円や5千円といった少額でもNISAの活用は可能です。実際、株式や投資信託の中には1万円や数千円などの少額から購入できるものもあります。投資が初めてという方は、リスクを限定しつつ投資を始めるという意味で、まずは少額からスタートしてみるのも良いでしょう。

NISAでも配当金に課税されることも

NISAでも配当金に課税されることも前述の通り、NISA口座を通じての株式売買利益は非課税になります。

この場合、売却益は単純にNISA口座を通じて売買していれば非課税となるわけですが、配当金は株式数比例配分方式という入金方法を選択していなければ非課税にはなりません。株式数比例配分方式とは、配当金を証券会社の口座に入金してもらう方式です。

NISAが開始される以前なら、株式数比例配分方式とは異なる方法で配当金を受け取っている方もいらっしゃるはずです。株式数比例配分方式以外の配当金の受け取り方法は、投資した会社から直接送付される配当金領収書を郵便局に持参して換金する方法、または指定の銀行口座へ振込んでもらう方法です。

しかし、この方式のままでは、たとえNISA口座を通じて株式を購入したとしても、配当金には通常通り20%が課税されます。非課税を目的としてNISA口座を活用している方の中にも、配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式にしていない例が多く見られるようです。NISAの非課税優遇を受けるために、証券会社での登録内容を確認してみましょう。※NISA口座を通じて購入した株式投資信託の分配金については、特に手続きの必要なく非課税となります。

株式数比例配分方式の注意点

配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式に変更する場合には、以下の2点に注意してください。

①配当金受け取り方法に関する注意点

配当金の株式数比例配分方式を選択した場合には、その証券会社に預けている全ての株式について株式数比例配分方式が適用されます。そのため、これまで配当金を郵便局で換金していた方や、また指定の銀行口座へ振込んでもらっていた方にとっては、配当金の受け取り方法が大きく異なってくることになります。

現在保有中の株式、および今後購入する株式の配当金は全て証券会社の口座にプールされることになるため、その換金方法をあらかじめ証券会社に確認しておきましょう。

②株式数比例配分方式への変更手続きに関する注意点

株式数比例配分方式への変更手続きは、権利確定日の2営業日前の15:30まで、という決まりがあります。権利確定日とは、配当をもらう権利が確定する日のことです。権利確定日に株式を保有していれば、たとえ保有期間がたった1日であったとしても配当をもらう権利が付与されます。

ただしNISAの非課税制度を利用するためには、権利確定日の2営業日前の15:30までに株式比例配分方式への変更手続きを完了させておかなければなりません。

たとえば、3月31日(金)が権利確定日であれば、3月29日(水)の15:30までに株式数比例配分方式に変更しておかなければなりません。3月31日が月曜日であれば、3月27日(木)までの変更手続きが必要です。

NISAは損益通算の対象外

NISAは損益通算の対象外NISA口座から購入した株式や投資信託で損失が出た場合、他の口座(特定口座または一般口座)で出た利益と損益通算をすることはできません。特定口座または一般口座の場合、A株式の損失10万円とB株式の利益20万円を損益通算して利益10万円とすることができます。20%の課税対象となるのは、この利益10万円のみになります。

ところが、もしこのA株式の損失10万円がNISA口座を経たものであった場合は、特定口座や一般口座で出たB株式の利益20万円と損益通算することができないというルールがあります。そのためB株式の利益20万円は、そのまま課税対象となります。ちなみにNISA口座で20万円の利益を出し、他の口座で10万円の損失を出したという逆のパターンの場合も損益通算の対象外となります。

ただし、そもそもNISA口座の利益は非課税なので、このパターンの場合は投資家の税金額に変化はありません。単純に10万円の損失とされ、その分の還付金が入ることになります。

NISAは3年間の損失繰越控除の対象外

NISAは3年間の損失繰越控除の対象外NISA口座で損失が発生したとしても、3年間の損失繰越控除は利用できません。

3年間の損失繰越控除とは、年間の損益がマイナスだった場合、そのマイナス分を翌年以降3年間の利益と損益通算させることができる制度です。

たとえば初年度の取引が100万円の損失で、翌年は30万円の利益、翌々年は30万円の利益、その次の年は40万円の利益だった場合、3年間の損失繰越控除を利用して損益通算をし、課税対象額を0円にすることができます。これを3年間の損失繰越控除と言います。ところがNISA口座では、この3年間の損失繰越控除を利用することはできません。

この制度は、特定口座と一般口座の損失のみが対象です。NISA口座の損失に関わる税法上の権利は、その年度内ですべて消滅すると考えましょう。過去の確定申告で、習慣的に3年間の損失繰越控除を利用してきた方は、その年度の損失の中にNISA口座を経たものが含まれていないかどうかを確認するようにしましょう。

以上、NISAと税金の関係における注意点を中心に確認してみました。配当の非課税の恩恵を受けるためには株式数比例配分方式を選択しなければならない点には特に注意が必要です。今一度、ご自身の口座登録状況を確認しておきましょう。